長時間のクレーム電話は、どう切ればよいか
同じ話が続く電話は、対応できる範囲を先に伝え、あらかじめ決めた時間で切ります。厚生労働省のマニュアルは、お引き取りを願っても続く場合に「30分程度」を超えたら電話を切るという例を挙げています。この時間は一例で、自社で決めます。
「お話の内容は承りました。ご要望のうち〇〇は当社ではお受けできません。本日お電話でお話しできるのは、あと〇分ほどです。」
終わりの時間を伝えずに聞き続ける。その場しのぎの約束をする。相手の話を遮って反論する。
着信時刻、切った時刻、通話時間、相手の申し出、こちらが伝えた内容、切った理由。
まず責任者へ共有します。脅す言葉が出たら警察、金銭の要求が続くなら弁護士に相談します。
電話を切るまでの5つの手順
切ることだけを目的にせず、聞く、伝える、告げる、切る、残すの順に進めると、あとで経緯を説明しやすくなります。
- 1. ひと通り聞く途中で発言を遮らず、反論もしません。氏名、連絡先、対象、起きた日時を確かめ、要点を復唱します。聞いてもらえたと感じると、相手が落ち着くことがあります。
- 2. できることとできないことを言い切る「ここまでは対応できます。ここからはできません」と区切ります。できない点をあいまいにすると、期待を持たせてしまいます。
- 3. 通話に使える時間を告げる「本日はあと〇分ほどです」と伝えます。事前に時間を告げておけば、切るときに突然だと受け取られにくくなります。
- 4. 切る前に一言添える「ご要望は上の者に共有し、確認のうえ回答します。本日はここまでとさせてください」と告げてから切ります。
- 5. 記録して共有する切った直後に通話メモを書き、責任者に渡します。同じ相手から再び電話があったときの引き継ぎになります。
切る時間の決め方
時間は法律で決まっているものではなく、自社で決めて全員に伝えておくものです。
厚生労働省の指針は、十分に説明したうえでなお繰り返しの要求が続く場合に、一定の時間の経過をもって電話を切ることを対処の例に挙げています。
膠着状態になってから30分程度を超えたら電話を切る、という例が出ています。同じマニュアルは、この時間をあくまで一例とし、業種に合わせて各社で決めるよう求めています。
あらかじめ対応できる時間を伝えておき、それより長い対応はしない、という考え方が示されています。
脅す言葉が出た、身の危険を感じるといった場合は、決めた時間に達していなくても責任者や警察に連絡します。
電話での言い方
言ってよい例
- 「ご事情は承りました。そのうえで、〇〇についてはお受けできません。」
- 「確認して、〇日までにこちらからご連絡します。」
- 「本日はここまでとさせてください。上の者と共有します。」
- 「お電話でのご案内が難しい内容ですので、書面かメールでもお受けします。」
避ける例
- 「今回だけ特別に対応します。」(前例になります)
- 「たぶん大丈夫です。」(確認前の約束)
- 「それはお客様の勘違いです。」(決めつけると長引きます)
- 何も告げずに切る。(あとで経緯の説明が難しくなります)
通話メモのひな型
電話を切った直後に書きます。事実と、こちらが言ったことだけを残し、推測は書き分けます。
【通話メモ】受けた人:[ ] 責任者への共有:[日時・方法]
着信:[ 時 分] 終了:[ 時 分] 通話時間:[ 分]
相手:[氏名・連絡先・分かった範囲] 対象:[注文・予約・件名]
相手の申し出(できるだけ原文のまま):[ ]
相手の希望:[ ] こちらが伝えたこと:[ ]
約束したこと:[なし/あり→内容] 切った理由:[ ]
次の対応と担当:[ ]
保留中に社内で相談するときは、内容が相手に漏れないよう、必ず保留機能を使います。電話の録音については録音・録画の進め方に、運用の決め方をまとめています。
長時間の電話でよくある疑問
何分たったら切ってよいですか。
全社共通の正解はありません。厚生労働省のマニュアルの30分程度という数字は例示です。窓口の人数、業種、法令上の定めを踏まえ、自社で決めて従業員に周知します。
切ったら、かけ直してきて余計に怒ることはありませんか。
あります。だからこそ、切る前に「確認して回答する」「本日はここまで」と告げ、責任者が次の連絡の担当と時期を決めておきます。かけ直しが続くときは同じ電話・メールの繰り返しを参照してください。
相手が「責任者を出せ」と言い続けるときは。
責任者に代わるかどうかは、自社で決めた基準で判断します。誰が出るかを相手に決めさせるのではなく、責任者が対応する場合も、同じ時間の枠と同じ「できないこと」を伝えます。
あわせて確認する場面
この場面の出典(公的機関)
- 厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)
確認日:2026年10月31日
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf - 厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」(令和8年9月)
確認日:2026年10月31日
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf
法令や運用は改正されることがあります。実際の対応の前に、最新の原文と専門家の案内を確認してください。
編集:ちんあなご編集部。このページは社内対応を整理するための情報提供で、法的な判断や個別の事案への助言ではありません。刑事や損害賠償にかかわる判断は、警察や弁護士などの専門家に相談してください。
自社の窓口に合わせて整理したいとき
窓口、件数、困りごとを書き出してから相談すると、任せる範囲が決めやすくなります。