クレーム対応の録音・録画は、どう運用するか
厚生労働省の指針は、顧客等とのやり取りを録音・録画することを対処の例に挙げています。同時に、録音・録画にあたっては個人情報の保護に関する法律等を守り、顧客等の個人情報を適切に取り扱うよう求めています。何のために、誰が、どこまで残し、どれだけ保管するかを先に決めます。
「内容を正確に確認するため、通話を録音させていただいてもよろしいでしょうか。」
目的を決めずに残す。誰が見られるかを決めない。録音をSNSなどに公開する。
録音した日時、記録した人、保管場所、閲覧できる人、消す時期。
個人情報の扱いは社内の担当者と弁護士など専門家に確認します。証拠として使うかは弁護士に相談します。
録音・録画で決める5項目
機器を置く前に、次の5つを文書にします。従業員にも周知します。
事実関係の確認と、従業員の保護のためなど、使い道を具体的に書きます。指針は、事実確認の際に録音・録画などの客観的な証拠を確認する例も挙げています。
電話の通話、店頭の会話、防犯カメラ映像など、どこまでを残すかを決めます。
録音することを相手に伝えるかどうか、伝える場合の言い方、掲示の有無を決めます。マニュアルは、必要があれば相手の了解を得て録音する、と示しています。
保管場所、閲覧できる人、持ち出しの禁止、消去の時期を決めます。
事実確認、研修、外部の専門家への相談、警察への相談など、使ってよい場面を決めます。
現場の運用手順
- 1. 録音できる状態にしておくマニュアルは、電話の対応では通話内容を録音できるようにしておくことを挙げています。
- 2. 告知する決めた言い方で、冒頭に一言伝えます。
- 3. 時刻を残す録音と合わせて、開始と終了の時刻、時間の計測を記録します。
- 4. 保管して共有範囲を絞る相談した従業員や関係者のプライバシーも含め、個人情報の取扱いに留意します。
- 5. 見直す年に一度など、目的と保管期間が今も適切かを見直します。
録音を断られたときの代わり
相手が録音を嫌がる場合は、無理に押し切らず、別の方法で第三者が確かめられる記録を残します。マニュアルは、録音・録画、対応記録、時間の計測などを、第三者が検証可能な証拠として挙げています。
具体的には、メモを取りながら聞き、要点を復唱して確認し、通話や面談の開始と終了の時刻を残します。対応後に、時系列で記録を整えて責任者に渡します。
録音でよくある疑問
相手に無断で録音してもよいですか。
このサイトでは、無断録音の適否を断定しません。個人情報保護法との関係や、証拠としての扱いは事案で変わるため、実施の前に弁護士などの専門家に確認してください。
録音した内容を、従業員の研修に使ってもよいですか。
利用目的に含めるかどうかは、個人情報の扱いに関わります。使う前に、利用目的の定め方を専門家に確認し、相手が特定されないよう配慮します。
録音は従業員のためにもなりますか。
指針は、事実関係の確認の際に、録音・録画などの客観的な証拠を確認する方法を挙げています。従業員の説明と客観的な記録を突き合わせられます。
あわせて確認する場面
この場面の出典(公的機関)
- 厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)
確認日:2026年10月31日
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf - 厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」(令和8年9月)
確認日:2026年10月31日
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf
法令や運用は改正されることがあります。実際の対応の前に、最新の原文と専門家の案内を確認してください。
編集:ちんあなご編集部。このページは社内対応を整理するための情報提供で、法的な判断や個別の事案への助言ではありません。刑事や損害賠償にかかわる判断は、警察や弁護士などの専門家に相談してください。
自社の窓口に合わせて整理したいとき
窓口、件数、困りごとを書き出してから相談すると、任せる範囲が決めやすくなります。