契約や規約を超える要求には、どう対応するか
指針は、言動の内容が許容範囲を超える例として、理由のない要求、契約を著しく超えるサービス、対応が不可能な要求(契約金額の著しい減額など)、不当な損害賠償要求の4つを挙げています。マニュアルは型ごとに対応例を示しています。この4つは取引先からの要求にも当てはまります。
「契約書(約款)に記載のとおり、ここまでは対応できます。それを超えるご要望は、お受けできません。」
前例を作るために一度応じる。根拠を確かめずに断る。担当者が一人で値引きや補償を決める。
要求の内容、契約書や約款のどの記載に基づいて断ったか、断った日時と担当者。
責任者が判断します。損害賠償を求められたら弁護士です。取引先の場合は法務の担当と共有します。
4つの型と、マニュアルの対応例
商品やサービスと全く関係のない要求です。録音・録画で証拠を残し、事実を確認し、警告を行います。繰り返すなら、弁護士への相談や警察への通報を検討します。
契約書や約款を示して、対応できる範囲を説明します。要求が繰り返されるなら、「これ以上の対応はできない」と明確に意思表示します。
価格設定の根拠を説明し、毅然として断ります。不当な要求に安易に応じると常態化するため、悪質と判断した場合は取引の解消や契約の解除も検討する、とされています。
要求の根拠と因果関係を確認し、自社に責任がないことを整理して説明したうえで断ります。続く場合は、弁護士など外部の機関と連携します。
断る前に確かめる4つのこと
- 1. 契約書・約款・見積書対応範囲、追加費用、免責の定めを読みます。
- 2. これまでのやり取り口頭やメールで、範囲を超える約束をしていないかを確認します。
- 3. 自社側の対応の問題指針は、事業主や労働者側の不適切な対応が原因や背景になる場合もあるとしています。こちらの説明不足や遅れがなかったかを点検します。
- 4. 要求のうち応じられる部分要求の一部が妥当なら、その部分には応じます。全部を断るか、一部に応じるかは、責任者が決めます。
言い方の例
言ってよい例
- 「ご契約の範囲は〇〇です。それを超える作業は、別の見積もりになります。」
- 「価格は、〇〇を基準に決めております。ご希望の金額には沿えません。」
- 「損害のご主張は、確認のうえ回答します。現時点で、お支払いをお約束するものではありません。」
避ける例
- 「社内で何とかします」と、根拠なく引き受ける。
- 「お客様の言うとおりですね」と、確認前に非を認める。
- 「規約に書いてあります」とだけ言い、書いてある箇所を示さない。
契約を超える要求でよくある疑問
取引先からの無理な要求も、カスタマーハラスメントですか。
指針の「顧客等」には、取引の相手方や取引先の担当者が含まれます。ただし、苦情のすべてが該当するわけではなく、内容と手段の相当性、従業員の就業環境への影響で総合的に判断します。
取引を打ち切ってよいですか。
マニュアルは、悪質と判断した場合に取引の解消や契約解除を検討する例を挙げています。契約上の手続きや損害の問題があるため、実行の前に弁護士へ相談してください。
あわせて確認する場面
この場面の出典(公的機関)
- 厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)
確認日:2026年10月31日
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf - 厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」(令和8年9月)
確認日:2026年10月31日
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf
法令や運用は改正されることがあります。実際の対応の前に、最新の原文と専門家の案内を確認してください。
編集:ちんあなご編集部。このページは社内対応を整理するための情報提供で、法的な判断や個別の事案への助言ではありません。刑事や損害賠償にかかわる判断は、警察や弁護士などの専門家に相談してください。
自社の窓口に合わせて整理したいとき
窓口、件数、困りごとを書き出してから相談すると、任せる範囲が決めやすくなります。